ファッションを学ぶ【服を着る全員が対象】サステナブルファッション

ファッションを学ぶ
毎年作られる服
  • 世界中で約1,500億着の服が毎年作られています。
  • 日本では、年間で約35億着の服が供給されています。
服の廃棄の現状
  • 2020年度の環境省の調査によると、日本で手放される服のうち、68%がゴミとして捨てられています。
  • イギリスでは、毎年約30万トンの古着が埋め立て地に捨てられています。

たくさんの服が毎年生産されますが、その多くが短期間で捨てられてしまう現状があります

これを改善するために私たちができることは、もっと服を大切に使い、リサイクルやリユースに積極的に取り組むことです。
あなたも一緒に、持続可能なファッションを考えてみませんか?

こんな悩みを解決します!
  • サステナブルファッションの基本的な意味がわからない
  • 環境に優しい服選びの具体的な方法が知りたい
  • 自分のファッションが地球に与える影響を知りたい
  • 持続可能なファッションにどう貢献できるかわからない
  • サステナブルファッションに興味があるが、始め方がわからない
  • 環境に優しい服の手入れ方法が知りたい
  • 自分のファッション選びが未来にどんな影響を与えるのか気になる
【この記事を書いた人】
  • インターナショナルパーソナルスタイリスト
  • インターナショナルカラーアナリスト
  • オーラソーマカラーケアコンサルタント
  • メイクアップアーティスト
  • 骨格診断ファッションアナリスト

ファッション診断・着こなし術や印象アップセミナー・メイクなど、6,000人以上の美容&ファッション相談を受けてきました。

目次

サステナブルファッションとは、服を作るときから服の一生を考え、環境や人々に優しく、長く使えるようにすることを目指し取り組むことです。

具体的には、自然に優しい素材を使ったり、作る人たちの労働環境を守ったり、捨てるときもリサイクルできるようにする。

地球や人々に配慮しながらおしゃれを楽しみ、問題を改善しようとする働きかけの総称を、サステナブルファッションといいます。

ファッション産業は、たくさんの服を作って、たくさん売って、すぐに捨ててしまうことが多いです。

服を作るためにたくさんの資源やエネルギーを使い、環境に大きな負担をかけているんだ。

また服を捨てることも多く、十分に再利用されていません。

これが世界的な問題になっているんだよ。

ファッション業界は多くの人々に影響を与える一方で、多くの課題を抱えています。
その中の10個の課題を、分かりやすく解説します。

①ファッション産業のサプライチェーンの複雑さ

服を作るためには、たくさんのステップがあります。

例えば、綿を育てる人、糸を作る人、生地を織る人、染色する人、服をデザインする人、服を縫う人、色々な国の人が分担して1着の服ができあがります。

一つの服ができるまでに多くの人が関わっているんだね。

そして服はたくさんの種類の素材が混ざって作られています。

またファッション業界では、世界中のたくさんの工場や会社が関わって分担をし服を作っているので、その過程はとても長く複雑です。
そのため、どれくらい環境に悪い影響を与えているのか、全体の状況を知るのはとても難しいのです。

私たちの服がたどる長い旅

今、私たちが着ている服は、たくさんの国を旅してから私たちの手元に届いています。

日本の法律では、服の最終的な製造工程が日本で行われれば「日本製」と表示できることになっています。

Made in Japanの表記でも 様々な 背景があるんだよ。

例)服ができるまでの流れ
工程国名
綿の生産アメリカ
生地の製造トルコ
縫製ベトナム
最終工程日本 (東京)
販売日本 (大阪)
STEP
綿の生産:

アメリカで綿が育てられます。

STEP
生地の製造:

綿はトルコに送られ、そこで生地にされます。

STEP
縫製:

生地はベトナムに送られ、そこで服として縫い上げられます。

STEP
最終工程:

縫い上げられた服は東京の工場でタグが付けられ、完成します。

STEP
販売:

その後、服は大阪のお店に送られて、販売されます。

たとえ「日本製」と書かれていても、その服が実際にはアメリカやトルコ、ベトナムなど、いろいろな国を経由して作られていることがあります。

私たちが着ている服は、世界中を旅してから手元に届いているのです。

服はたくさんの国々で作られた後、日本にやってきているんだね。

②労働環境の問題:賃金や労働条件の不公正さ

画像引用:The True Cost: Who Pays the Real Price for YOUR Clothes | Investigative Documentary

あなたは、自分が今着ている服を、どんな人達が作っているか考えたことはありますか?
あなたの服の本当の価格を支払うのは誰でしょう?

ファストファッションがとても安いのには理由があります。

これだけたくさんの人が関わり、時間がかかって出来上がるものが、1,000円や2,000円で買えるなんておかしい・・・。
「何故こんなに安く買えるの?」と疑問に思いますよね。

こんなに安く買えるのは、誰かがその安さのために困難を強いられているからだよ。

この服を作るために、発展途上国の工場で働く人たちがとても低い給料で長時間働いています。

栽培する人、布を作る人、服を縫う人たちが、みんなこの安さのために大変な仕事をしています。

画像引用:The True Cost: Who Pays the Real Price for YOUR Clothes | Investigative Documentary

バングラデシュで、2013年4月24日、海外に服を送るための5つの縫製工場が入っていているビルが崩れ落ちました。

この事故で1,000人以上の人が亡くなり、2,500人以上がけがをしました。

被害者の多くは10代から20代の若い女性です。

事故の前日、ビルに亀裂が入っていたので働く人たちは入るのを怖がりましたが、工場の責任者は「仕事をしなければ給料を払わない、クビにする」と脅して無理やり働かせ作業を開始したところで、ビルが崩れたのです。

この事件は、私たちがファッションについて考えるべき大きな問題を提起しています。

環境省の調べで、日本の小売市場で売られている衣料品の約98%が海外からの輸入です。

私たちが安い服を買うとき、その背後にはたくさんの人たちの努力や苦労があることを知っておくことは重要です。

③環境への悪影響:生態系への影響と汚染

ファッションは作られる過程でも、私たちが使う過程でも、地球環境に大きな影響を与えています。

例えば、服を洗ったり、ジーンズを加工したりするときに、汚れた水が出ます。

工場では有害なガスも出ているよ。

服を運ぶトラックや船、飛行機からは排気ガスが出てるね。

それが地球温暖化の原因になります。

上質な毛皮は手触りが良いけれど、そのために動物を殺している。

さらに、毛皮を作るためにはたくさんの化学薬品が使われるね。

その過程でまた汚れた水が出てしまうんだ。

このように、ファッションは作るときから使うときまで、いろいろな場面で環境に負担をかけています。
だから、私たちが服を選ぶときに、このことを考えることが大切です。

④大量生産とその問題:過剰在庫と廃棄

画像引用:The True Cost: Who Pays the Real Price for YOUR Clothes | Investigative Documentary

たくさんの服が工場で一気に作られると、安くて手軽に買えるようになります。
でも、安いからといって、1シーズンだけ着てすぐに捨ててしまう人が増えています。
使い捨てのように新しい服をどんどん買って、古い服を捨ててしまうのです。

その捨てられた服はどうなるの?

ほとんどの服はゴミとして捨てられ、埋め立て地に送られます。

これが環境に悪い影響を与えています。

でも、海外の若い人たちは、環境に優しい方法を考えて実行している人が多いです。

例えば、イーベイやメルカリといったサイトで中古の服を買ったり売ったりして、服を大切に使い続けるようにしているのです。
これにより、無駄を減らし、環境を守ることができます。

ファッション業界の国際的な10の課題

課題
認知度の低い社会問題

貧困や環境問題など、多くの人が知らない社会の問題。

課題
大量生産

需要を多めに予測し過剰生産し、売れなかった新品は廃棄される。

課題
不当な労働環境

工場で働く人がとても低い給料で長時間働かされる。

課題
環境汚染

服を作るときに出る汚れた水や有害なガスが環境を汚す。

課題
生態系への悪影響

服を作るために使う薬品や農薬が、自然や動物たちに悪い影響を与える。

課題
動物虐待

毛皮やレザーを作るために動物を苦しめる。

課題
伝統技術の衰退

昔からの技術や手作りの方法が使われなくなる。

課題
海外生産の増加

服を作る仕事が海外に移り、遠くから運ばれてくることが増える。
服を運ぶトラックや船、飛行機からの排気ガスが地球温暖化の原因になる。

課題
大量消費・廃棄

たくさんの服を買ってすぐに捨てる。

課題
ゴミ問題

使い終わった服がたくさん捨てられてゴミとして溢れている。

本当におしゃれな人はサステナブルファッションを選ぶ。

ファッション業界は多くの課題を抱えています。

そんな中で、本当におしゃれな人達がサステナブルファッションを選ぶのは何故でしょうか?

その理由と具体的な内容を分かりやすく解説します。

(1)意識の高い選択

本当におしゃれな人は、自分の選択が環境や社会に与える影響を考えています。

(2)品質と持続性

サステナブルファッションは、高品質で長持ちする素材を使用していることが多く、結果として長く愛用できまるよ。

(3)ユニークなスタイル

リサイクル素材やヴィンテージアイテムを取り入れることで、他にはないユニークなスタイルを楽しむことができるんだ。

サステナブルファッションは、環境や社会に配慮した持続可能な選択です。

本当におしゃれな人々は、このような選択をすることで、自分のスタイルを楽しむだけでなく、未来の地球と次世代に対する責任を果たしています。

今後も、自分の選択がどのような影響を与えるのかを考えながら、サステナブルなファッションを取り入れていきましょう。

美しい地球を守るための4つの具体的な取り組み

ファッション業界では、さまざまなサステナブルな取り組みが行われています。
今回はその中から4つの取り組みをご紹介します。

みんなが幸せに働けるようにするための仕組み:フェアトレード

フェアトレードとは、公平で公正な取引をすることです。
これは、服を作るために働く人たちが正当な給料をもらい、良い労働環境で働けるようにする仕組みです。

例えば、発展途上国の工場で働く人たちは、時には非常に低い給料で長時間働かなければならないことがあります。
フェアトレードは、こうした不公平な状況を改善するためにあります。

フェアトレード認証を受けている企業は、厳しい基準を守って働く人たちに公正な賃金を支払い、安全で健康的な労働環境を提供しています。
また、認証は受けていないけれども、独自に公正な取引を行っている工房もあります。

さらに、労働者が安全に不満を訴えられるシステムも重要です。
例えば、工場の責任者ではなく、発注した企業に匿名でSOSを出せるような仕組みです。

オーガニック素材の活用と環境保護

服を作るときに使われる農薬や化学薬品が、土や周りの環境に悪い影響を与えています。

これらの薬品は、作物を育てる土を汚したり、水を汚したりします。
そうすると、その水で生きている魚や虫などの生き物にも悪い影響が出ます。

また、ポリエステルなどの合成繊維(人工的に作られた布)は、染めたり洗ったりするときに小さなプラスチックの粒(マイクロファイバー)が出てきます。

このマイクロファイバーが海に流れ込み、海の生き物に悪い影響を与えるのも問題なんだ。

つまり、服を作る過程で使われる薬品や材料が、環境や生き物にとても悪い影響を与えることがわかっています。

地球には、人間や動物、植物、そして微生物など、いろいろな生き物がいて、みんなが協力しながらバランスを保っています。
でも、そのバランスが崩れると、食べ物や他の大切な資源が手に入らなくなるかもしれません。

例えば、コットンやウール、カシミヤなど、服を作るための自然の素材も影響を受けます。
だから、環境に優しい「オーガニック素材」を使うことも大切です。

POINT
オーガニック素材とは:

化学薬品や合成肥料を使わずに、有機栽培で育てられた素材のことです。
自然の食物連鎖を壊さずに育てられています
コットンの場合、世界的な基準があって、その基準を守ることで働く人たちの条件も良くなります

POINT
マイクロプラスチック対策:

洗濯したときに繊維が抜け落ちにくい生地を作ったり、マイクロファイバーをキャッチするネットを開発したりしています。

まだまだやるべきことがたくさんありますが、オーガニック素材を使ったり、マイクロプラスチックを減らす工夫をしたりすることが、地球や自然を守るために大切です。

適量生産:必要な分だけ作る

「適量生産」というのは、必要な分だけ服を作る考え方です。
これをするために、AI(人工知能)を使って、どれくらいの服が売れるかを予測します。
こうすることで、作りすぎて余ってしまうことを防ぎます。

例えば、天気や流行、新しい病気の流行など、予測が難しいこともありますが、AIを使うとより正確に予測できることが増えます。

STEP
AIによる予測:

AIを使ってどれくらいの服が必要かを予測します。これにより、作りすぎを防ぎます。

STEP
こまめな発注:

売れ行きを見ながら、必要な分だけこまめに追加で注文します。これで余計な在庫を減らします。

STEP
受注生産:

注文が入ってから服を作る方法です。これにより、在庫を持たずに済みます。

STEP
アップサイクル:

余ってしまった服や古い服に手を加えて、新しいデザインにして販売する方法です。

こうした方法を使うと、必要な分だけ作って、無駄を減らすことができます。
これが「適量生産」という考え方です。

動物福祉を考えたファッション:ヴィーガン素材の利用

ファッション産業では、レザーや毛皮など、動物の素材がよく使われてきました。
しかし、そのために多くの動物が苦しんでいます。

毛皮やレザーのために育てられる動物:

毛皮やレザーの需要が増えると、専用の動物飼育場が作られ、動物がひどい扱いを受けることがありました。

動物を守るための取り組み

特定の動物の輸出入を禁止したり、毛皮用の動物飼育場を禁止する法律ができています。
多くのブランドが、毛皮を使わないことを決めています。

ヴィーガンファッション:

動物の素材を一切使わないファッション。
例えば、キノコやパイナップル、オレンジの皮などから作ったレザー調の素材や、フェイクファー(人工の毛皮)があります。

代替素材

近年では、植物から作ったレザーやフェイクファーが増えています。
これにより、動物を守りながらもおしゃれを楽しむことができます。

考え方の変化

本革はフェイクレザーよりも長持ちすることがありますが、動物の命を無駄にしないようにする考え方も重要です。
ファッション産業では動物を守るためのさまざまな取り組みが進められています。
自分なりの考えを持ち、動物福祉や消費のスピードなど、いろいろな観点から物事を見ることが大切です。

環境にやさしい服の選び方

サステナブルファッションでは、服がどのように作られるかだけでなく、何を大切にして服を選ぶのか、どこから服を買うか、どう手入れするか、そして使わなくなったらどうするかも大切です。
ここでは、消費者として服とどう付き合うかについて考えてみましょう。

環境負荷の低い素材を選ぶポイント

ファッション産業は、地球環境に大きな影響を与えています。
服を作るためには、たくさんの資源とエネルギーが必要です。そのため、環境に優しい素材を選ぶことが重要です。
ここでは、環境負荷の低い素材を選ぶためのポイントを分かりやすく説明します。

① 生産時の水やエネルギー使用量が少ない素材

服を作るには、多くの水とエネルギーが使われます。

例えば、2021年度の経済産業省の報告書によると、1着の服を作るのに約2,300リットルの水が必要です。

これは浴槽11杯分に相当します。

また、CO2の排出量も高く、服1着で約25.5kgのCO2が出ます。

これはペットボトル255本分のエネルギーに相当するんだよ。

水やエネルギーの使用量が少ない素材を選ぶことで、環境負荷を減らすことができます。

②生分解スピードの速い素材

生分解性の高い素材は、自然に戻るのが早いため、ゴミとして捨てられたときに環境への影響が少なくなります。
例えば、オーガニックコットンやリネンは生分解性が高い素材です。

③リサイクルしやすい素材

リサイクルしやすい素材を選ぶことで、廃棄物を減らし、資源を有効に使うことができます。
例えば、リサイクルポリエステルは、使用済みのペットボトルから作られており、再利用が可能です。

④環境負荷の低い加工を取り入れた素材

服の生産過程で使用される化学薬品や加工方法も環境に大きな影響を与えます。
環境に優しい加工方法を使用した素材を選ぶことで、環境負荷を減らすことができます。
例えば、オーガニックコットンは化学農薬や化成肥料を使わずに育てられているため、環境への影響が少ないです。

⑤持続可能な素材の使用

持続可能な素材とは、環境に優しく、長く使える素材のことです。
これには、オーガニック素材やリサイクル素材、自然素材が含まれます。
これらの素材を選ぶことで、地球環境を守ることができます。

環境に優しい素材を選ぶことで、ファッション産業による環境への影響を減らすことができます。
次に服を買うときは、生産時の水やエネルギーの使用量、生分解スピード、リサイクルのしやすさ、加工方法などを考慮して選んでみてください。
これにより、地球環境を守る一助となります。

リペア(修理)とリユース(再利用)の実践方法

服の値段は昔より安くなっていて、30年前と比べると半値以下で買えるようになりました。

これにより、人々は2000年から2014年の間に60%も多くの服を買うようになりました。
しかし、買った服を持っている期間は半分に減っています。

つまり、安いからといってたくさん買い、すぐに捨ててしまうことが増えているんだ。

服の価格が下がると、新しい服を買う方が修理するよりも安くなることがあります。
これが、服の廃棄を増やす原因の一つです。

しかし、最近では「ケア・リペア・リユース」という考え方が重要視されています。

ケア・リペア・リユースの考え方
STEP
ケア(手入れ):

服を長持ちさせるためには、正しい選び方や手入れの方法を知ることが大切です。
例えば、洗濯方法や保管方法を工夫することで、服が長持ちします。

STEP
リペア(修理):

服が破れたり、ほつれたりしたときには、修理するという選択肢があります。
修理することで、また長く使うことができます。

STEP
リユース(再利用):

使わなくなった服は、捨てずにフリマアプリなどで他の人に譲ることができます。
こうすることで、服がゴミにならず、他の人がその服を長く使うことができます。

STEP
リスペクト(敬意):

私はここにリスペクト(敬意)も加えてほしいと思っています。
私たちが毎日使っている服は、たくさんの人たちが一生懸命作ってくれたものです。
そのことに感謝の気持ちを持つことで、「ものは当たり前にあるもの」だと思わず、大切に使うようになります。
そうすることで、簡単に捨ててしまうことがなくなり、無駄を減らすことができます。

服を大切に使うことは、環境にも優しい選択です。
新しい服を買う前に、今持っている服を大切に使う方法を考えましょう。
ケア・リペア・リユースの考え方を取り入れることで、地球に優しい生活を送ることができます。

無駄を減らすデザイン:ゼロ・ウェストの考え方

ファッションロスゼロという考え方があります。
これは、服を作るときから捨てるときまでのすべての過程で、ゴミをゼロにすることを目指すものです。

ファッションロスゼロの取り組み

取り組み
端材の再資源化:

服を作るときに出る余り布(端材)を再利用して、新しい製品を作る。

取り組み
衣類回収システムの構築:

古くなった服を集めて、再び使えるようにするシステムを作る。

取り組み
リサイクル技術の向上:

古い服を分解して、新しい服に生まれ変わらせる技術を進化させる。

取り組み
はぎれを出さない設計:

服を作るときに、余り布が出ないように型紙を工夫すること。
これを「ゼロ・ウェイスト・パターン」と言います。

取り組み
ホールガーメント:

糸から直接服の形に編む機械を使うことで、無駄を出さずに服を作る方法です。

取り組み
3Dデザイン:

コンピュータ上で服のサンプルを作り、実際に布を使わずにデザインを確認する方法です。

このようにして、ファッションロスゼロは、服を作る過程で出るゴミを減らし、地球に優しいファッションを目指しています。

サステナブルファッションの未来

伝統技術の見直しと現代への応用

伝統技術が失われつつある理由
理由
海外生産・機械化の影響:

昔は手作業で丁寧に作られていたものが、今では機械や海外の工場で大量に作られるようになりました。

理由
職人不足:

高齢の職人さんが増えており、新しい世代がその技術を学ぶ機会が少なくなっています。

理由
消費スタイルの変化:

人々の買い物の仕方や流行が変わり、昔の技術が求められなくなっています。

伝統技術を守るための取り組み
取り組み
伝統技術の見直し:

昔からの技術を見直し、今の生活に合うように工夫することが大切です。

取り組み
ヴィンテージ品の活用:

昔の手作業で作られたヴィンテージ品を取り入れて、新しいデザインに応用します。

取り組み
現代のニーズに合わせた商品開発:

伝統技術を使いながら、現代の消費者が求める商品を作り出します。

取り組み
教育と継承:

新しい世代が技術を学べるように教育の場を作ること。

伝統技術を生かしてものを作ることは、ファッションの世界での多様性を守ることにもつながります。

さまざまなスタイル、文化、体型、性別、年齢、人種などが尊重され、すべての人が自分らしさを表現できる。

これにより、ファッションはより豊かで、みんなにとって意味のあるものになります。

伝統的な手作業を大切にし、価値を未来に伝える。

伝統技術を守り、現代に応用することで、私たちは多様な文化と技術を次の世代に引き継ぐことができるのです。

日本国内生産の重要性と課題

海外生産の増加による影響

海外生産が増えた理由:

多くの会社が、コストを下げるために製品を海外で作るようになりました。

国内生産の減少:

その結果、日本国内での生産が減り、工場や技術が失われつつあります。

日本で作られる服の量が大きく減っています。

1991年と比べると、国内の繊維工場の数や作られる商品の量が約4分の1にまで減ってしまいました。

その一方で、海外から輸入される服の割合がどんどん増えており、2017年には日本の市場で売られる服の97.6%が海外製品になりました。

つまり、日本で作られた服は全体のたった2.4%しかないのです。

さらに、2021年の調査では、日本製の服の割合が初めて1%台(1.8%)にまで減少してしまいました。

このように、日本で作られる服が少なくなり、ほとんどの服が海外から輸入されている現状が続いています。

国内生産の課題

課題
技術の流出:

海外生産に依存することで、日本独自の技術が海外に流れてしまうことが問題です。

課題
二酸化炭素の増加:

海外から商品を運ぶ際に、トラックや船、飛行機からの排気ガスで二酸化炭素が増え、環境に悪影響を与えます。

課題
人手不足:

国内の縫製工場では、賃金が低いために働く人が足りず、アジアからの技術実習生に頼ることが増えています。

改善のための取り組み

スクロールできます
取り組み
工賃の見直し:

賃金を上げることで、国内の労働環境を改善しようとする動きがあります。
たとえ価格が上がっても、その理由をお客様に理解してもらうことが大切です。

取り組み
地域産業の活性化:

地域に根ざしたものづくりを進めることで、地域の経済を成長させ、雇用を増やすことができます。

日本国内での生産が減ると、技術や文化が失われ、環境への影響も大きくなります。

そのため、国内生産を守り、地域経済を支えることが重要です。

社会問題への関心を高める:チャリティー活動の役割

貧困問題や環境問題など、世界にはたくさんの困ったことがあります。
しかし、これらの問題について、あまり多くの人に認知されていないこともあります。

チャリティー活動とは、困っている人を助けるためにお金を寄付したり、支援を行うことです。

例えば、ある会社が商品を売って得た利益の一部を寄付することができます。

これにより、その商品を買った人も社会に貢献することができるんだ。

古着の寄付の問題:

先進国(裕福な国)からアフリカなどの途上国(発展途上の国)に古着が寄付されることがあります。
しかし、この古着が安く売られることで、現地で新しい服を作る工場や会社が困っています

これが原因で、アフリカでは現地で作られる新品の服が売れなくなり、繊維産業が衰えてしまったんだ。

ファストファッションのゴミ捨て場として有名なチリのアタカマ砂漠(使える服を探す女性たち)

画像引用:University of Washington

ガーナのビーチに打ち上げられた衣類の山(ぼろ布の中を歩く地元の漁師さん)

画像引用:Mountains of clothes washed up on Ghana beach show cost of fast fashion

ガーナでの古着の寄付が引き起こす問題

西アフリカの海岸には、毎日のように船が到着し、大量の古着が運び込まれています。
しかし、これらは事実上「繊維廃棄物」となっており、ガーナのアクラ市では、毎日160トン以上の繊維廃棄物を処理する場所を探す必要があります
このため、ガーナの一部地域は有害な埋め立て地に変わってしまっています。

問題
雨と下水道の問題:

ガーナは熱帯地域に位置し、降水量が多いため、不要な衣類が下水道に流れ込みやすく、これが詰まりを引き起こします。
大雨が降ると、未回収の廃棄物が雨水管に集まり、海に流れ込みます。
これにより、海底に繊維廃棄物が積もり、水中の生き物が窒息する原因となります。

問題
海への影響:

海では、服が絡まった束が漂い、泳ぐ人や漁師にとって危険です。
漁師の船のモーターに服が絡まり、事故の原因になることもあります。

問題
環境への悪影響:

合成繊維は分解に何百年もかかるため、この繊維廃棄物の山は何世紀にもわたり悪臭を放ち続ける可能性があります。
また、多くの不要な衣類は燃やされ、アクラ市の空が何日も煙で黒くなることは珍しいことではありません。
これにより、すでに貧困に苦しむ人々がさらに厳しい状況に追い込まれています

問題点説明
繊維廃棄物の増加ガーナに大量の古着が捨てられている
下水道の詰まり雨が降ると不要な衣類が下水道を詰まらせる
海洋汚染繊維廃棄物が海に流れ込み、海の生態系に悪影響
燃焼による大気汚染不要な衣類が燃やされ、空が煙で覆われる
合成繊維の問題分解に何百年もかかり、長期間にわたり環境に悪影響

このように、ガーナでの古着の寄付が引き起こす問題は深刻です。

日本で消費される衣服と環境負荷(環境省:2020年度調査)

寄付を行う際の注意点

寄付をする前に、寄付先が本当に助けを必要としているかどうか、そしてその寄付がどのような影響を与えるのかをしっかり確認することが大切です。

チャリティー活動は、社会問題を解決するためにとても大切です。

ただ、寄付の方法や寄付先に注意することが必要だね。

これにより、寄付が本当に役立ち、社会に良い影響を与えることができます。

消費者としての責任:私たちにできる9つのこと

私たちが日々使っている服や物には、たくさんの人々の努力や地球の資源が関わっています。
だからこそ、消費者としての責任を持ち、環境や社会に優しい選択をすることが大切です。
ここでは、私たちができる具体的なことをいくつか紹介します。

check
必要なものだけを買う

リデュース(Reduce)の考え方に従い、本当に必要なものだけを買うようにしましょう。
無駄な買い物を減らすことで、ゴミを減らし、資源の無駄遣いを防ぐことができます。

check
長く使えるものを選ぶ

質の良いものや、修理ができるものを選ぶことで、長く大切に使うことができます。
例えば、丈夫な素材で作られた服や、修理サービスがある製品を選びましょう。

check
新品ではなく古着を買う

新品を買う代わりに古着を選ぶことで、環境に優しい選択をすることができます。
古着を購入することで、新たな資源の使用を減らし、服の寿命を延ばすことができます。
また、古着には個性的なデザインが多く、ユニークなおしゃれを楽しむことができます。

check
環境に優しい素材を選ぶ

オーガニック素材やリサイクル素材など、環境に配慮した素材を選ぶことができます。
これにより、製品が作られる過程での環境負荷を減らすことができます。

check
洗濯も工夫する

家庭での洗濯は服の寿命と環境に大きな影響を与えます。
洗濯による痛みを防ぐことで服を長持ちさせ、環境負荷を減らすことが重要です。
また、洗濯時に出るマイクロファイバーは海洋汚染の原因となるため、適切なケアと専用ネットの使用が推奨されます。

check
リユース(Reuse)を実践する

使わなくなったものは、すぐに捨てずに他の人に譲ったり、リサイクルショップやフリマアプリを利用して再利用しましょう。
これにより、製品の寿命を延ばすことができます。

check
リサイクル(Recycle)を意識する

捨てるときには、リサイクル可能なものは適切に分別してリサイクルするようにしましょう。
ゴミとして処分されるのではなく、再び資源として活用されることが大切です。

check
企業の取り組みをサポートする

サステナブルな取り組みをしている企業の商品を選ぶことで、その活動をサポートすることができます。
フェアトレード商品や環境に優しいブランドを選ぶことで、私たちも社会に貢献できます。

check
情報を共有する

自分だけでなく、家族や友人にもこのような考え方を伝え、一緒に行動することが大切です。
多くの人が意識を持つことで、社会全体がより良い方向に進むことができます。

消費者としての責任を果たすことは、私たち一人ひとりが未来の地球を守るためにできる重要なことです。
少しの工夫や心がけで、環境にも社会にも優しい生活を送ることができます。

今日からできることを少しずつ始めてみませんか。

まとめ

服を作るためにはたくさんの資源やエネルギーが必要で、さらに作られた服の多くがすぐに捨てられてしまうため、環境への影響がとても大きいと指摘されています。

日本では、たくさんの服が海外で作られているため、その環境への影響が見えにくいという問題があります。

使わなくなった服が十分に再利用されていないことも課題です。

環境省も、ファッション業界における大量生産、大量消費、大量廃棄の問題を深刻に捉えているんだ。

環境省は日本で消費される服と環境への影響について調査をまとめています。
とても分かりやすく書かれていますので是非読んでみてください。
環境省_サステナブルファッション

私たちが変えるべきなのは服に対する考え方です

なぜこれが重要なのか?

ファッションは地球環境に大きな影響を与えています。
私たちが少しでも環境に優しい選択をすることで、未来の地球を守ることができます。

購入時にできることは?
Point
環境に優しいブランドを選ぶ: 

サステナブルな取り組みをしているブランドの商品を選んで、環境への負荷を減らしましょう。

Point
古着を購入する:

新しい服を買う代わりに、古着を選ぶことで資源の無駄遣いを防ぎます。
古着にはユニークなデザインが多く、個性的なおしゃれも楽しめます。

服を長く使う

質の良い服を選び、大切に手入れして長く使うことで、使い捨て文化を減らします。

行動に移そう!

サステナブルファッションは、全員に関係する重要なテーマです。
毎日のファッション選びやケアの仕方を少し工夫するだけで、地球環境や社会に良い影響を与えることができます。
古着を選ぶ、長く使える服を大切にする、サステナブルなブランドを応援するなど、今日からできることを始めてみましょう。
小さな行動が大きな変化をもたらします。

ファッションのサステナビリティには「これが正解」という一つの答えがあるわけではありません。


私たちは、さまざまな情報を集めて、みんなで一緒に考えることが大事だと思っています。

そのために、それぞれが自分なりの疑問や意見を持ち、行動に移せるような機会を提供します。

この記事を読んで、「自分にも何かできることがある」と感じて、最初の一歩を踏み出すきっかけになれたら嬉しいです。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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