【ファッションを学ぶ】ファッション業界の国際的な10の課題

僕たちが選ぶ服が、地球や人々に与える影響はとても大きいんだよ。

毎日着る服の背後にどんなストーリーがあるかを考えることは少ないよね。

でも、ファッションに興味がないし、ファッション業界の人間でもないから関係ないわ。

そう思う方もいるかもしれません。

でも、少しだけ立ち止まって考えてみてください。

私たち一人ひとりが少し意識を変えることで、世界が良い方向へ向かいます。

【この記事を書いた人】
  • インターナショナルパーソナルスタイリスト
  • インターナショナルカラーアナリスト
  • オーラソーマカラーケアコンサルタント
  • メイクアップアーティスト
  • 骨格診断ファッションアナリスト

ファッション診断・着こなし術や印象アップセミナー・メイクなど、6,000人以上の美容&ファッション相談を受けてきました。

目次

認知度の低い社会問題

画像引用:The True Cost: Who Pays the Real Price for YOUR Clothes | Investigative Documentary

貧困や環境問題など、多くの人が知らない社会の問題

ファッション業界は一見華やかで魅力的な世界に見えますが、その背後には多くの人が知らない深刻な問題が隠されています。

ファッション業界の社会問題を多くの人が知らないのはなぜですか?

多くの人に知られていない理由は、下記のいくつかの要因が絡み合っています。

1,複雑なサプライチェーン

ファッション産業のサプライチェーンは非常に複雑です。

製品が消費者の手元に届くまでに、素材の生産から製造、流通まで多くの段階が存在します。

この複雑さが、どこで何が起こっているのかを消費者が理解するのを難しくしています。

例えば、服のタグ。

「メイドイン〇〇」と国名が書かれていることが多いですが、それは製品の最終加工地を指しているだけです。

素材がどこから来ているかや、製造過程での労働環境については何も伝えられていません。

2,情報の非対称性

消費者は製品のデザインや価格に関する情報にはアクセスしやすいです。

ですが、その製品がどのような労働条件で作られているか、どのような環境負荷がかかっているかについての情報は、ほとんど提供されていません

この情報の非対称性が、問題を認識することを難しくしています。

3,メディアの報道不足

ファッション業界の労働問題や環境問題は、他の社会問題と比べてメディアで取り上げられる機会が少ないです。

特に、労働条件が過酷な地域や環境に対する悪影響が大きい地域は、発展途上国が多く、これらの問題は先進国のメディアにおいて優先的に報道されることが少ないです。

4,ブランドイメージのコントロール

多くのファッションブランドは、自分たちのイメージを守るために、社会問題に関するネガティブな情報が広まるのを防ごうとします

これにより、消費者が問題に気づかないまま、購入を続けてしまうことがあります。

5,消費者の意識の欠如

多くの消費者は、購入する製品がどのように作られているかにあまり関心を持たない傾向があります。

ファッションにおいては、デザインや価格が優先されることが多く、環境や労働条件への配慮が二の次になることが一般的です。

これらの要因が組み合わさり、ファッション業界の社会問題が広く知られない原因となっています。

大量生産

需要を多めに予測し過剰生産し、売れなかった新品は廃棄される

ファッション業界では、トレンドの移り変わりが早く、消費者の需要に応えるために大量生産が行われています。

しかし、この大量生産には多くの問題が潜んでいます。

1,需要予測の難しさ

ファッション業界は常に新しいデザインやスタイルを市場に提供しなければならないため、需要を予測して生産を行います。

しかし、トレンドが急速に変化するため、正確な需要予測が難しく、結果として過剰生産が行われることが多いです。

過剰生産された衣服は、売れ残り、最終的に廃棄されることが少なくありません。

2,過剰生産の結果、新品の大量廃棄

スクロールできます
供給日本では1年間で約29億着の衣服が供給される
売れ残りだが半分以上の約15億着もの衣服が売れ残る
廃棄その多くがブランド価値を保つために新品のまま廃棄処分されている
参考資料:ガイアの夜明け【 追跡!余った服の行方 】

過剰生産された衣服の多くは、セールやアウトレットで販売されますが、それでも売れ残った商品は最終的に廃棄されます。

例えば、イギリスでは、購入された衣服のうち3分の2が1年以内に捨てられているという報告があります。

最近では、モノを再利用したり循環させたりする動きが出てきています。

それにもかかわらず、新しい製品の生産量は減るどころか増え続けています。

限られた資源や環境への影響を考えると、新品の生産が減らない限り、根本的な解決にはつながらないのではないかと感じます。

3,環境への影響

大量生産と大量廃棄は、環境に深刻な影響を与えています。

衣服の製造には大量の資源が必要です。

例えば、ジーンズ1本を作るために約7,500リットルの水が使用されます。

さらに、製造過程で使用される化学物質や染料が環境を汚染し、廃棄された衣服が埋め立て地に運ばれ、そこで何百年も分解されずに残り続けることになります。

廃棄された衣服の埋め立て地

ガーナのビーチに打ち上げられた衣類の山

画像引用:How fast fashion choices in the the UK are causing an environmental catastrophe in Ghana | ITV News

影響
水の消費:

ジーンズ1本を作るために必要な水は、浴槽約37杯分に相当します。

影響
化学物質の使用:

デニムの染色には大量の化学物質が使われ、その一部が河川や海に流れ込んでいます

影響
廃棄物の問題:

ファストファッションによって生産された衣服の多くが短期間で捨てられ、環境に負担をかけています。

4,社会的影響

過剰生産による廃棄だけでなく、低賃金で働く労働者たちへの影響も深刻です。

ファストファッションを支えるのは、発展途上国で低賃金で働く労働者たちです。

彼らは過酷な労働条件の中で大量の衣服を生産していますが、その労働の対価は非常に低く、彼らの生活は改善されることがありません。

ファッション業界の大量生産と過剰生産は、環境と社会に多大な負担をかけています。

私たちがこの現実を理解し、消費行動を見直すことが、持続可能な未来を築くために重要です。

新しい服を買う前に、その服がどのように作られ、どのような影響を及ぼすのかを考えることが必要です。

不当な労働環境

画像引用:The True Cost: Who Pays the Real Price for YOUR Clothes | Investigative Documentary

工場で働く人がとても低い給料で長時間働かされる

ファッション業界の裏側には、消費者があまり知らない深刻な労働問題があります。

特に、発展途上国での衣服生産は、非常に厳しい労働条件のもとで行われています。

1,低賃金と過酷な労働条件

多くのファストファッションブランドは、商品の価格を抑えるために生産コストを極限まで削減しています。

その結果、労働者たちは非常に低い賃金で長時間働かざるを得ません。

たとえば、バングラデシュやインドなどの工場では、労働者が1日12時間以上働いても、生活を維持するのに十分な収入を得られないことが多いです。

賃金の現実:

バングラデシュでは、縫製工場の労働者の月給がわずか60ドル程度であることがあります。

これは家族を養うには全く不十分な金額です。

労働時間:

過酷な生産スケジュールのため、労働者は休みなく働き、疲労が蓄積し、健康にも悪影響を及ぼします。

2,劣悪な労働環境

画像引用:The True Cost: Who Pays the Real Price for YOUR Clothes | Investigative Documentary

労働環境そのものも非常に厳しいものです。

多くの工場では、安全基準が守られておらず、火災や建物の倒壊などのリスクが高いです。

実際、2013年にバングラデシュのラナプラザが倒壊し、1,000人以上が亡くなるという悲劇が起きました。

これも、不適切な労働環境が引き起こした典型的な例です。

労働環境の問題:

多くの工場は適切な安全基準を満たしておらず、労働者は危険な状況で働かされています。

人権の問題:

労働者が労働条件について声を上げることは難しく、彼らの権利は無視されています。

3,なぜ問題が解決されないのか

このような労働環境が存在するのは何故ですか?

理由の一つは、消費者の需要が絶えず増加していることです。

消費者が安価なファッションを求める限り、企業はコスト削減のために低賃金での労働を続けざるを得ません。

また、これらの問題は多くの場合、消費者に知られることがなく、メディアの報道も限られているため、広く認識されていません。

消費者の責任:

消費者が安価な衣服を購入し続けることで、過酷な労働環境が維持される結果となっています。

私たち一人ひとりがこの問題を認識し、購入行動を見直すことが重要です。

企業の責任:

企業もまた、倫理的な生産を選び、労働者の権利を尊重する努力をする必要があります。

ファッション業界の華やかな表面の裏には、低賃金で過酷な労働条件に苦しむ労働者たちが存在します。

消費者として、この現実を理解することで、彼らの労働環境を改善するための一歩を踏み出すことができます。

僕たちの選択が、労働者たちの生活にどんな影響を与えるのか、意識することが重要だね。

環境汚染

画像引用:汚染された川_インドネシアのCihaur川(国際環境NGOグリーンピース・ジャパン)

服を作るときに出る汚れた水や有害なガスが環境を汚す

ファッション業界は、私たちの生活に欠かせない衣服を提供する一方で、地球環境に多大な負担をかけています。

特に、服を作る過程で発生する汚染は深刻な問題です。

ここでは、服の製造過程でどのように環境が汚染されているのかを具体的に見ていきます。

1,製造過程での水の汚染

衣服の製造には大量の水が使用され、その過程で汚れた水が排出されます。

特に、デニム製品の製造では、大量の水と化学物質が使われており、その結果、有害な排水が川や海に流れ込むことがあります。

デニム製造の例:

国際連合広報センターによれば、1本のジーンズを作るためには、約7,500リットルの水が必要と発表しています。

平均的に1人が7年間かけて飲む水の量に相当します。

中国などの「デニムの中心地」では、工場からの排水が河川に流れ込み、水質を悪化させています。

化学物質の影響:

デニムの染色には、合成インディゴ染料やその他の化学物質が使用されます。

これらの化学物質は環境に有害です。

排水を通じて水中生態系に悪影響を与えます。

2,有害なガスの排出

服を作る際には、製造プロセスで大量のエネルギーが消費され、その結果、二酸化炭素(CO2)やその他の有害なガスが大気中に放出されます。

これにより、地球温暖化が進行し、環境への負担が増大しています。

CO2排出量の例:

ファッション業界は、日本のCO2排出量の約10%を占めています。

これは、飛行機や船舶による輸送業全体の排出量を上回るほどの量です。

製造過程の影響:

例えば、ポリエステルなどの合成繊維を製造する際には、大量の石油が消費され、その過程で有害なガスが排出されます。

これらのガスは、大気汚染を引き起こし、健康や環境に悪影響を及ぼします。

3,環境汚染の影響

これらの環境汚染は、私たちが気づかないうちに地球に深刻なダメージを与えています。

汚れた水や有害なガスは、自然環境だけでなく、人々の健康にも悪影響を及ぼします。

水質汚染の影響:

化学物質を含む汚れた水が川や海に流れ込むことで、水生生物の生態系が破壊されます。

また、その水を飲料水として使用する人々にも健康被害が及びます。

大気汚染の影響:

有害なガスが大気中に放出されることで、地球温暖化が進行し、気候変動が加速します。

これにより、世界中で異常気象が増え、自然災害のリスクが高まります

ファッション業界の製造過程で発生する環境汚染は、私たちが想像する以上に深刻な問題です。

服を作る際に使われる大量の水や化学物質、有害なガスの排出が、地球環境に多大な影響を与えています。

消費者としてこの問題に対する意識を高め、環境に優しい選択をすることが、持続可能な未来を築くために重要です。

生態系への悪影響

画像引用:中国紹興市の染色工場(国際環境NGOグリーンピース・ジャパン)

服を作るために使う薬品や農薬が、自然や動物たちに悪い影響を与える

ファッション業界が生態系に与える悪影響は深刻で、私たちが普段何気なく着ている服が、自然環境や動物たちにどのような影響を与えているのかを考えることが必要です。

ここでは、服を作るために使われる薬品や農薬が、生態系にどのような悪影響を及ぼしているかを見ていきます。

1,農薬による土壌と水質の汚染

衣服の原料となる綿花などの栽培には、非常に多くの農薬が使用されています。

特に、従来の農法では害虫や雑草を抑制するために強力な農薬が使われ、その結果、土壌や水質が汚染されます。

土壌への影響:

大量の農薬は土壌中の微生物を殺してしまい、土壌の健康を損ないます。

これにより、次に栽培する作物の成長が悪くなり、農地の持続可能性が失われていきます。

水質への影響:

農薬は雨や灌漑水によって地中深くまで浸透し、地下水や川、湖に流れ込みます。

この結果、飲料水として利用される水源が汚染されるだけでなく、水生生物にも深刻な影響を及ぼします。

2,化学薬品の使用による水生生物への影響

衣服の製造過程で使われる染料や加工剤にも多くの化学薬品が含まれています。

これらの薬品は製造工場から排水として流出し、川や海に到達します。

水生生物への影響:

化学薬品が含まれた排水が川や海に流れ込むことで、水生生物の生息環境が破壊されます。

特に、重金属や有毒物質が含まれる場合、魚や甲殻類が汚染され、それを捕食する動物や人間にも悪影響を及ぼします。

マイクロプラスチック問題:

ポリエステルなどの合成繊維を洗濯する際、微細なプラスチック片(マイクロファイバー)が排水に混ざり、最終的に海洋に到達します。

これらのマイクロファイバーは分解されにくく、海洋生態系を長期間にわたって汚染します。

3,生物多様性への悪影響

農薬や化学薬品による汚染は、生物多様性の減少につながります。

生物多様性が失われることで、自然界のバランスが崩れ、全体の生態系に深刻な影響を及ぼします。

例えば、農薬による蜂や蝶の減少が報告されています。

これらの昆虫は植物の受粉に重要な役割を果たしており、その減少は農作物の収穫量にも影響を与えます。

それに化学薬品によって汚染された水域では、魚類の繁殖が妨げられてるね。

結果として食物連鎖全体に悪影響が広がります。

ファッション業界で使われる農薬や化学薬品が生態系に与える影響は非常に深刻です。

これらの影響を軽減するためには、環境に配慮した素材選びや製造プロセスの見直しが必要です。

私たち消費者も、これらの問題に目を向け、環境に優しい選択をすることで、持続可能な未来に貢献できるのです。

動物虐待

毛皮やレザーを作るために動物を苦しめる

ファッション業界では、毛皮やレザーの使用が長い間続けられてきました。

これらの素材を得るために、多くの動物が苦しんでいる現実があります。

私たちが普段使用しているファッションアイテムの裏にある残酷な現実を知ることが重要です。

1,毛皮のために犠牲になる動物たち

画像引用:狭くて不衛生な檻の中で飼われている毛皮用のウサギたち

毛皮製品は、高級感があり、特別なアイテムとして扱われることが多いです。

その製造過程には多くの動物が犠牲になっています。

毛皮のために飼育される動物たちは、狭いケージに閉じ込められ、劣悪な環境で育てられます。

そして最終的には、毛皮を剥ぎ取られるために残酷な方法で殺されることが多いです。

主な犠牲動物:

ミンク、キツネ、ウサギ、チンチラ、イタチ、スカンク、テン、アライグマ、狸、ハラコ、ラム、ビーバー、リス、ハムスター、ゴマフアザラシ、ポニーなど。

飼育環境:

狭いケージの中で一生を過ごし、ストレスや病気に苦しむことが多い。

方法:

毛皮を傷つけないように、窒息、感電、毒物注射など、非常に苦痛を伴う方法で殺されることが多い。

2,レザー製品に使用される動物たち

レザーもファッション業界では非常に人気のある素材ですが、これもまた動物の命を犠牲にして得られています。

多くの場合、食肉産業の副産物として得られると説明されることがありますが、実際にはレザーを得るためだけに飼育される動物も多くいます。

主な犠牲動物:

牛、豚、ヤギ、羊など。

飼育環境:

特にレザー専用に飼育される動物は、過酷な環境で育てられ、短命で終わることが多い。

処理方法:

皮を剥ぐためには強力な化学薬品が使われ、その過程で大量の汚染物質が排出される。

3,ヴィーガン素材と代替品

このような動物虐待を防ぐために、ファッション業界ではヴィーガン素材や代替品が注目されています。

これらは動物性の素材を一切使用せず、環境にも配慮した選択肢となります。

ヴィーガンレザー:

キノコやパイナップルの繊維を使った素材が開発されており、動物の命を犠牲にせずにレザーのような質感を実現できます。

フェイクファー:

天然の毛皮に代わる素材として、合成繊維を使ったフェイクファーが広く使われています。

これにより、動物の命を守ることができます。

毛皮やレザーの製造過程で動物が苦しめられている現実は、ファッション業界の暗い一面です。

しかし、私たちが選ぶ素材を変えることで、動物虐待を減らすことができます。

画像引用:毛皮のために殺されている動物

ヴィーガン素材やフェイクファーを選ぶことで、動物の命を守りながら、スタイルを楽しむことが可能です。

ファッションの選択が、動物たちの命を救う一歩になることを理解し、意識的に行動することが求められます。

伝統技術の衰退

昔からの技術や手作りの方法が使われなくなる

ファッション業界の近代化とともに、伝統的な技術や手作りの方法が徐々に失われつつあります。

これらの技術は、長い歴史を持ち、地域の文化や風土に深く根ざしたものです。

しかし、機械化と大量生産の波が押し寄せる中で、これらの技術は後退し、存続が危ぶまれています。

1,伝統技術の重要性

伝統技術は、単なる製品を作るための手段ではなく、文化や歴史を受け継ぐ重要な役割を担っています。

たとえば、日本の着物に用いられる「友禅染め」や「絞り染め」などの技術。

何世代にもわたって受け継がれてきました。

これらの技術は、地域ごとの独自性を持ち、製品に込められた職人の想いが反映されています。

地域に根ざした技術:

地域ごとの気候や文化に適応した技術が発展してきました。

例えば、日本の「越後縮(えちごちぢみ)」などが挙げられます。

歴史的価値:

伝統技術は何百年も前から存在し、時を超えて人々に愛され続けてきました。

2,機械化と大量生産の影響

近代化が進む中で、機械化と大量生産が主流となり、手作りの技術が使われなくなってきました。

機械を使った製造は効率的で、大量に同じ製品を作ることができますが、伝統技術に比べると、製品に込められた個性や温かみが失われがちです。

藍染は時間と手間がかかるため、現在では化学染料が主流となり、伝統的な藍染の技術が減少しています。

草木染めも大量生産には不向きなため、化学染料に置き換えられることが多くなっています。

絞り染めも手作業で時間がかかり、友禅染も消えつつある技術の一つです。

機械化の利便性:

大量に製品を作ることができるため、価格が安く抑えられ、消費者にとって手に入りやすくなります。

伝統技術の後退:

手作りの技術が使われなくなることで、技術そのものが失われる危機にあります。

特に、次世代の職人が育たないことが問題です。

3,伝統技術の保存と現代への応用

伝統技術を保存し、現代のニーズに応じて応用する動きが求められています。

たとえば、伝統的な技術を使った製品を現代的なデザインと組み合わせることで、新たな価値を生み出すことが可能です。

現代的なアプローチ:

伝統技術を使いながら、現代のファッションやライフスタイルに合わせた製品を作ることが増えています。

これにより、伝統技術を守りながら、新たな市場を開拓することができます。

職人の育成:

若い世代に伝統技術を教えるプログラムやワークショップが行われ、技術の継承が図られています。

伝統技術の衰退は、文化や歴史を失うことにつながります。

しかし、機械化と伝統技術のバランスを取りながら、現代に応じた新たな価値を創造することが可能です。

私たち一人ひとりが伝統技術の大切さを理解し、その保存に協力することが、未来のファッション業界にとって重要な一歩となります。

海外生産の増加

服を運ぶトラックや船・飛行機からの排気ガスが地球温暖化の原因になる

ファッション業界では、コスト削減を目的として、服の生産が国内から海外にシフトしています。

これにより、製造にかかるコストが大幅に下がる一方で、いくつかの重大な問題も発生しています。

1,海外生産の増加とその背景

多くのファッションブランドは、安価な労働力を求めて、アジアや南米などの国々に生産を移しています。

これらの国々では、賃金が低く、労働条件が厳しいにもかかわらず、法律が整備されていないことが多いです。

そのため、企業側にとっては大きな利益を得ることができます。

その結果、国内での製造業が衰退し、技術や雇用機会が減少しています。

低コスト労働力の活用:

海外では、より低賃金での労働力を確保できるため、生産コストを抑えることが可能です。

国内産業の衰退:

海外生産の増加に伴い、国内の繊維工場や職人が減少し、技術の継承が困難になっています。

2,環境への影響

海外で生産された服は、世界中の消費者に届けるために長い距離を運ばれます。

この運搬過程で使用されるトラックや船、飛行機などから排出される排気ガスが、地球温暖化の一因となっているんだよ。

特に、長距離輸送が必要な場合、二酸化炭素(CO2)の排出量が大幅に増加し、環境への負担が大きくなります。

長距離輸送の影響:

海外で生産された服は、何千キロも離れた消費地まで運ばれるため、その間に大量のCO2が排出されます。

地球温暖化への寄与:

トラック、船、飛行機などの輸送手段から排出されるガスは、地球温暖化を加速させる要因の一つです。

3,輸送による環境負荷の実例

たとえば、アジアで生産されたTシャツがヨーロッパの店舗に届くまでには、何千キロもの距離を移動します。

この過程で、海を越え、空を飛び、そして陸路で移動するため、大量のエネルギーが消費され、それに伴って大量のCO2が排出されます。

こうした輸送の負担は、ファッション業界全体の環境負荷を大きくしているのです。

スクロールできます
輸送手段CO2排出量
比較的低いが、長距離の場合は増加
飛行機非常に高い
トラック中程度、高頻度で使用

4,結論と今後の課題

海外生産の増加により、ファッション業界はコスト削減に成功していますが、その一方で環境への負荷が深刻な問題となっています。

今後は、より持続可能な輸送手段の開発や、国内生産の見直しなど、環境への影響を最小限に抑える努力が必要です。

私たち消費者も、服を選ぶ際にはその生産背景や環境への影響を考慮し、よりサステナブルな選択をすることが求められています。

大量消費・廃棄

たくさんの服を買ってすぐに捨てる

現代はファストファッションの流行により、服が非常に手軽に、しかも安価に手に入るようになりました。

しかし、この手軽さが逆に、消費者が服を大切にしなくなり、服を簡単に手放してしまう習慣も広がっています。

1,大量消費の背景

多くの人々が、セールや最新のトレンドに影響されて、必要以上に服を購入しています。

特にファストファッションブランドは、低価格でおしゃれな服を次々と提供し、その結果、消費者は「安いから買ってもいい」という心理に陥りやすくなります。

よいと思って買ってみたけれど、着る機会がほとんどない。

クローゼットの中で眠ってしまう服が増えたな。

衝動買いの増加:

セールやキャンペーンに乗じて、計画的ではない購入が増え、結局似合わなかったり、必要なかったりすることが多くあります。

着用頻度:

多くの服が、購入後ほとんど着られることなく放置される。

低価格化の影響:

服が安くなったことで、壊れたら買い替えれば良いという考えが広まり、物を大切にする意識が薄れています

2,服の短命化

ファストファッションの影響で、服のライフサイクルが短くなっています。

品質よりも低価格が優先されるため、服自体が長持ちしにくく、数回の洗濯で劣化してしまうことも少なくありません。

また、トレンドの移り変わりが早いことから、消費者は新しいデザインの服を次々と購入し、古い服を捨ててしまいます。

短命な服の特徴:

数回の着用や洗濯で痛みやすい

トレンド依存:

トレンドの変化に合わせて、古い服がすぐに不要になる。

3,環境への影響

服の大量消費と廃棄が進むことで、環境への影響は避けられません。

製造から消費、廃棄に至るまで、服が環境に与える負担は計り知れないものがあります。

廃棄物の増加:

捨てられた服は、リサイクルされることなく埋め立てられることが多く、これがさらにゴミの山を増やしています。

環境資源の無駄遣い:

服を製造するために大量の水やエネルギーが使用されています。

使われずに捨てられることで、それらの資源が無駄になっています。

4,結論と提案

大量消費と廃棄を抑えるためには、私たち一人ひとりが服の購入を見直し、本当に必要なものを選ぶ意識が求められます。

少しでも環境に優しい選択をするために、衝動買いを控え、長く使える質の良い服を選ぶことが大切です。

リユースやリサイクルの選択肢を検討することも、僕たちができることだよね。

今後は、サステナブルなファッションを取り入れ、地球環境を守るための意識を高めることが求められます。

ゴミ問題

使い終わった服がたくさん捨てられてゴミとして溢れている

ファストファッションのゴミ捨て場として有名なチリのアタカマ砂漠(使える服を探す女性たち)

画像引用:University of Washington

ファッション業界のもう一つの大きな課題は、「ゴミ問題」です。

私たちが使い終わった服の多くが、最終的にはゴミとして廃棄され、その多くが埋め立て地に送られています

この問題は世界中で深刻化しており、服のリサイクル率が極めて低いことが原因の一つです。

1,捨てられる服の現状

世界中で生産される膨大な量の服のうち、使い終わった後にリサイクルされる割合は非常に少ないのが現状です。

環境省の調査によると、日本で手放された服のうち68%がゴミとして廃棄されており、リサイクルに回されるのはごくわずかです。

この数字は、ただの服の廃棄を示すだけでなく、大量生産・大量消費の影響が、環境にどれほどの負担をかけているかを物語っています。

項目割合
廃棄される服の割合約68%
リサイクルされる服の割合わずか20%
再利用・リユースされる服の割合約12%

2,世界的な問題

ガーナのビーチに打ち上げられた衣類の山(ぼろ布の中を歩く地元の漁師さん)

画像引用:Mountains of clothes washed up on Ghana beach show cost of fast fashion

この問題は日本だけでなく、世界中で見られます。

ファストファッションの台頭により、服が手軽に購入できるようになった反面、短期間で使われなくなり、大量に捨てられる服が増えています。

イギリスの現状:

毎年30万トンの古着がゴミとして埋め立てられています。

世界的な影響:

衣類の大量廃棄が、埋め立て地の限界を迎えさせ、環境への負荷を増大させています。

3,リサイクルの課題

服のリサイクル率が低い理由の一つは、衣類に使用される素材の複雑さです。

複雑な素材構成:

多くの衣類は複数の素材が混ぜ合わされて作られており、リサイクルが難しい。

コストと技術の問題:

リサイクルには高いコストや技術の問題があり、リサイクルが進みにくい。

4,結論と提案

ゴミ問題を解決するためには、私たち一人ひとりがファッションに対する考え方を見直す必要があります。

服を購入する際には、本当に必要なものを選び、長く使えるものを選ぶことが大切です。

また、使わなくなった服を捨てる前に、リサイクルリユースの方法を検討することも重要です。

持続可能な消費:
必要なものを選び、長く使える服を購入する。
リサイクルとリユース:
服を捨てる前に、他の方法で再利用できないか考える。

地球の未来のために、少しでも環境に優しい選択を心がけましょう。

まとめ

課題
服を作る際に使われる化学薬品や農薬
問題点:

水質汚染、土壌の劣化、生物多様性の喪失

影響:

将来の食糧不足、健康問題、環境破壊

課題
発展途上国の過酷な条件で働かされている労働者
問題点:

低賃金、長時間労働、児童労働

影響:

貧困の連鎖、人権問題

画像引用:The True Cost: Who Pays the Real Price for YOUR Clothes | Investigative Documentary

課題
大量生産と大量廃棄
問題点:

資源の浪費、ゴミの増加、環境負荷の増大

影響:

資源の枯渇、埋め立て地の不足、環境汚染

課題
ファッションのために命が奪われる動物
問題点:

動物虐待、不必要な犠牲

影響:

生態系のバランスの崩壊、倫理的な問題

使わなくなった服が十分に再利用されていないことも課題です。

環境省も、ファッション業界における大量生産、大量消費、大量廃棄の問題を深刻に捉えているんだ。

環境省は日本で消費される服と環境への影響について調査をまとめています。
とても分かりやすく書かれていますので是非読んでみてください。
環境省_サステナブルファッション

私たち一人ひとりが少し意識を変えることで、世界が少しでも良い方向に向かうかもしれません。

誰かが犠牲になるのではなく、みんなが幸せになる選択をしていきましょう。

私たちが選ぶ行動が未来を作っていくのです。

ファッションのサステナビリティには「これが正解」という一つの答えがあるわけではありません。

私たちは、さまざまな情報を集めて、みんなで一緒に考えることが大事だと思っています。

そのために、それぞれが自分なりの疑問や意見を持ち、行動に移せるような機会を提供します。

この記事を読んで、「自分にも何かできることがある」と感じて、最初の一歩を踏み出すきっかけになれたら嬉しいです。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

目次